外装定期メンテナンス(塗装)の重要ポイント!
2023.06.19
コラム
こんにちは、簑田です。
今回は、一般的に言う『外壁塗装』について取り上げてみたいと思います。
外壁塗装と言っても、実際には建物の外回り全部についてのメンテナンス(建物を永く健全な状態を保つ為の塗膜維持)と考えてよいでしょう。
仕上げ材によっては、屋根が陶器製の瓦や、外壁がタイル張りであったりとメンテナンスが不要な場合も有ります。ただ他の部位の塗装の際に、せっかく足場が設置されるので苔や汚れをついでに落としてもらうのが良いでしょう。
次に、塗装する部位を挙げると、①屋根②外壁③樋(屋根の軒先についているものと、外壁に沿って縦についている雨水が通る部材)④軒天(軒裏とも言って、軒の裏側の面や玄関ポーチの天井のこと)⑤破風板・鼻隠し(軒の先端や側面に取りついている板のこと)⑥金属部分(外壁の張り分け部分・土台付近・水切れがある部分の板金)⑦フード等(換気扇の排気口のカバー)⑧ダクト・排水管部分(エアコンのカバー・露出式汚水排水管等)⑨基礎巾木(建物基礎の表面)⑩その他付属物(ウッドデッキ・テラス等)
では、どのくらいのスパンでこのメンテナンスを行えばよいのでしょうか。
ひと昔前(2・30年前)は、10年に1回は行った方が良いと言われてましたが、外装版の塗膜性能の向上や再塗装の際の塗料の改良で、製品によっては13年~15年でも良いと製品カタログには書かれるようになりました。
しかし!この10年を見ても気候変動は著しく、過酷な条件での材料の劣化は部位によっても様々です。
目安としては、外壁面を手で触ってみて白い粉が手につくようになってきたら、塗膜の劣化が始まってます。チョーキング現象といって、そろそろ塗り替えの時期だと思います。
チョーキング現象が始まるという事は、表面の油分や撥水性が無くなり水分を吸収しやすくなってしまいます。その状態で真冬の凍結時期になると、水分を外壁が含んだまま氷点下で凍ってしまい、材料自体が膨張し、溶けた時には大げさに言うとブワブワになってしまいます。これを繰り返すと良いわけがありません。(凍結融解)
他には、外壁の苔が目立ち始めた場合です。苔が水分を保持して、上記と同様に凍結融解を起こしやすくなってしまいます。
こちらのお宅はチョーキング現象になる直前でしたが、苔も目立ってき始めたので、まだ築10年くらいでしたが早めに実施されました。
次にシーリングについてです。コーキングとも言われてます。
シーリングとは外装版の継ぎ目の部分に入っているものと窓周りに施工されてます。これは材質にもよりますが年数が経つと硬化して痩せて(縮んで)しまいます。外装版の塗膜や塗料の劣化年数とイコールではないので施工時期の見極めが少し難しいのです。
ただ、シーリングに隙間やヒビ割れが出てきても外装版の施工方法が通気工法だと、そこから侵入した雨水は下部の水切りから外部に排出されるので、すぐにどうこうではないのですが、早めに外壁と併せて同時にシーリングの打ち替えを行った方が良いです。
上記2枚の画像は、シーリングの硬化によるヒビ割れと、縮んで隙間ができているものです。
次に屋根です。
屋根材が一番過酷な部位で、直射日光と雨を直接受けるので劣化については一番注意が必要なところです。
陶器製の瓦は問題ないのですが、セメント製品の瓦やスレート屋根(コロニアルとよく呼ばれています)、板金屋根は外壁と同様に定期的なメンテナンス(塗り替え)が必要です。
こちらのスレート屋根は元々の色はブラックでしたが、ほぼ表面の塗膜が無くなりザラツキが発生しています。
幸いにひび割れは発生しておらずギリギリのタイミングでした。
そして塗装済みの状態です。表面の洗浄・下地塗装・仕上げ塗り(2回)を行ってます。当然、板金類も併せて塗装し新築並みの美しさを取り戻しました。
こちらの屋根の表面もかなり表面劣化が進んでました。所々割れや角の欠けも発生してます。
塗り替え後の状態です。今回は屋根の色を少し濃いめにされました。イメージも変わりますね。
ここまで代表的な部位のご紹介をさせて頂きましたが、その他の部位も含め建物全体を塗り替えるので見た目のリフレッシュ感がとても心地よいと感じられるはずです。
もし、放置状態が続くと、屋根・壁の劣化部分からの波及で『こんなところが!』という場所が雨漏りによって腐食してしまうことが有ります。
ほとんどが見えない所なので、更に二次被害に繋がってくることも多々あります。
この画像は、外装の劣化による雨漏りから構造材(木材)が水分を持ち、そこに白蟻が侵入して巣を造ってしまった事例です。こうなると部分的に改修することは困難で、周囲の外壁を剥がし根本的な構造部分から改善する必要が有ります。
高額なお金をかけてせっかく建てたり買ったお宅なので、こまめにお手入れをすることで住宅はいくらでも健全な状態を保つことが出来ます。とにかく『早め早めのメンテナンス』が大事です。
中も大事ですが外がもっと大事です!
もう一つ重要なことは、適切な工事店選びです!
先日ニュースでも取り上げられていましたが、『近所で工事している会社ですが、お宅の屋根の瓦がずれてますよ!』・『このままでは雨漏りしますよ』など巧みに声をかけて営業をしてくる業者です。
捏造した写真や資料を見せて脅かし、でたらめな工事と請求をしたことで問題になっていました。
当社でもそのような被害に遭われた方の相談をかなり受けておりますが、とにかくひどい!の一言です。
・屋根の塗装だけして、下地の劣化(防水層・桟木等)の改善は何も行わず、人が乗ったことにより余計に傷んでしまった結果、雨漏りが発生
・棟瓦の周りの漆喰(シックイ)が外れていると言われ、僅かな数量の漆喰を埋める工事で100万円請求された(足場も掛けずに)
等々、特にご高齢者を狙った訪問営業がいまだに行われています。
とにかく気をつけて頂くしかないのですが、本当にそんな話を聞くと腹が立ちます!
長々と説明しましたが、また建築に関する私の思っていることをお伝えしていきます。